留学先  ベルリン工科大学
留学期間 2023年10月~2024年3月 
留学年次 修士課程1年

 

留学前

 僕が留学を決めた理由は主に二つあります。一つ目は、様々なバッググラウンドを持った人達と交流し、グローバル人材になりたいと考えていたからです。僕はインドと日本のハーフであり、自分の強みはいろんな文化的な背景を持った人たちと交流してきた点だと自負していました。留学は自分の強みを生かせる絶好のチャンスだと考えていました。二つ目に、日本の良さを客観的に知りたいと思ったからです。メディアでは、よく日本は欧米諸国に比べて、労働生産性が低い、男女同権の社会になっていない、経済が成長しない、多様性を受け入れていないと報じています。僕は実際に欧米の国に滞在して、それらの国の日本とは異なる点を自分の目で確かめたいと思っていました。また日本を離れることで、当たり前だと思っていた日本の良さを認識できると考えていました。
 留学を決めてから、準備したことは、書類手続きのみです。本来はドイツ語、英語学習のために時間を割くべきでしたが、後回しにしてしまいました。授業、TA、就活のインターン準備、研究、アルバイトなどを優先した結果、時間を捻出するのが少し難しくなってしまいました。

留学中 

 僕が留学中に受講した授業は、基礎燃焼学、非線形の力学、ガスタービンエンジン工学、ドイツ語A1です。基礎燃焼学を除いては、北大の工学部に似たような授業はありませんでした。授業中に、教員が質問を投げかけると、必ず誰かが積極的に回答します。学生たちは、疑問に思ったこと、わからなかったことを授業中に質問していました。日本と比べて、授業中に質問をためらわずにする学生が多くて驚いていました。
 テストは、とても難しかったです。授業の担当教員に学習した内容をいろいろ深堀りされる口頭試問が最終試験でした。ただ公式に当てはめる、解き方を覚える、定義を暗記するといった小手先のテクニックは通用しません。学習した内容を本質的に理解し、それを英語で説明するのが大変でした。
 休日または放課後にはESN Berlinという学生グループが主催する活動に参加しました。ESN Berlinというのは、ERASMUS Student Networkという団体のベルリン支部です。本来、僕はERASMUSプログラムの学生ではないですが、運よくグループを知り、イベントに参加していました。クリスマスマーケットを一緒に回る企画、ただひたすらにベルリン市内を歩く会、イルミネーションを見に行くなどいろんなイベントがあり、とても楽しかったです。イベントでは、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア出身の方などいろんな人たちが参加していました。僕は、自ら話しかけて交流し、楽しい話ができました。自分がインドと日本のハーフだということを話すと、インド、パキスタン、バングラデシュ出身の方とすぐに打ち解けることができました。イベントには、留学生が多く参加しており、ドイツ出身の方は少数でした。
 また隙間時間を使い、就活準備をしていました。自己分析、企業の説明会への参加、ES作成、面接練習などを主にしていました。ドイツと日本の時差によって、参加できるイベントは限定的でしたが、業界の大枠、職種の分類、現場社員のリアルな声を知ることができました。僕は帰国後に就活を本格的に開始し、1か月半程度で終わらせることができました。迅速に終わらせることができたのは、ドイツ滞在中に自己分析、業界分析、企業分析を徹底して行っていたからだと考えています。

留学後

 留学を終えてよかったと思ったことは、日本では絶対に出会わないような人たちと交流できたことです。また日本の良さについてもよく理解することができました。
 留学を通して成長できたと思う点は2点あります。日本語が通じない環境で英語・ドイツ語をつかってコミュニケーションを図ったこと。そして将来の自身のキャリアに対する考え方が変わったことです。僕は、修士課程修了後は就職し、ずっと定年まで働くということが当たり前だと思っていました。しかし、ベルリン工科大学で会った人たちは、全く異なるキャリアを歩んでいました。彼らと話していく中で、自分の将来に対する視野が広がり、感謝しています。

最後に伝えたいこと

 皆さんに、少しでも留学したい気持ちがあるなら、留学を諦めないで欲しいと思います。僕は、研究が遅れる、就活が不利になる、ドイツ語が全く話せないといった理由で躊躇していましたが、今では留学をしてよかったと思っています。将来、「あの時留学していれば良かった」と後悔するのだけは避けられたからです。どんな状況でも皆さんなら、留学する選択肢を自らの行動で正解にすることができると信じています。
 最後に、留学関連の事務手続きをしてくださった国際企画事務室の皆様、研究が遅れることを承諾してくださった先生方に感謝申し上げます。

戦勝記念塔
大学寮
シャルロッテンブルク宮殿
Berlin Festival of Lights ライトアップされた建物
大学の食堂付近