留学は一歩踏み出すことが大切~大きなようで小さな壁~

留学先 オーストリア・ウィーン工科大学
留学期間 2018年10月~2019年2月 
留学年次 修士課程1年

 

留学前

オーストリアは半年の留学であればビザが不要なため、留学前の準備は特に多くありませんでした。事前準備として国際企画事務室とJASEC(留学先事務室)の担当者への書類提出がありました。また、単位互換の準備として、事前に留学中に受講する授業を決め、工学・教務担当の方と北大の互換先の授業担当の先生に、その授業のシラバスをもとに授業内容を説明し、帰国後に単位互換したいとの希望を伝えました。これから留学を考えている皆さんへの留学前のアドバイスですが、英語とドイツ語の勉強、オーストリアの歴史や文化の勉強はもちろんのこと、現地で何を見たいか等の留学生活の楽しみ方をイメージしておくといいと思います。英語の勉強、特に単語力は日本で確実に上げておくべきだと思います。現地で単語の勉強をしていては、時間がもったいないです。授業で使われる専門用語は日常会話からは学べないので、日本にいる間に積極的に英語の授業を受けて、英語をより理解できるように準備しておくといいと思います。ドイツ語、オーストリアの歴史や文化の勉強は現地の人々と仲良くなるのにとても役立つと思います。英語は大体の人に通じますが、母国語で話した方が深く仲良くなれますし、より受け入れられます。また、成し遂げたいこと等の留学の目的を明確に持っておく方が、限られた時間を十分に楽しむことができます。

留学中

留学中は、自分の壁をぶち壊して外国の人々の考え方や文化を学ぶことを意識して、積極的にコミュニケーションを図りました。もともとそこまで英語が得意ではなく、さらには現地では外国人であり分からないことばかりだったので、「失敗して当然、分からないことはしっかり聞かなくては」という意識で、どんどん人に尋ねていました。スーパーで気になった食材から携帯の契約、友人おすすめの飲食店や故郷の話など、何でもインターネットで調べることがかなう時代ですが、現地にいる間は積極的に人と関わることをお勧めします。
勉強に関しては、研究ではなく主に授業の履修をベースにしていました。ウィーン工科大学では、修士学生は研究室に所属することがなく、日本の文系学生のようにゼミ形式の授業を履修し、学期毎にレポートをまとめて卒業研究とします。そのため、日本で行っている研究を現地でも行いたい場合、留学先に研究テーマに関するゼミ授業があるかどうか確認する必要があります。授業を履修せずに研究したい場合は、特別研究員として研究室に所属することも可能ですが、配属先の研究室の都合もありますので、まずは国際企画事務室に相談してみてください。私は平日の授業時間以外は、授業内容の復習や関連文献を読むほか、大学の学生部屋でドイツ語の勉強をしていました。ゼミ形式の授業は履修していなかったので負担は少なく、やりたい勉強を一日中好きなだけできたので毎日とても充実した日々が過ごせました。
ゼミ形式の授業以外は、オーストリアと日本の授業の形態にあまり違いはありませんでした。ただ、土木分野で意識される内容が大きく異なっていると思います。ウィーンは公共交通機関の発展している街で、気候変動や持続性に配慮した考え方を非常に重視しており、その意識が交通・設計の授業で多く感じられました。オーストリアの文化や人々の考え方、そしてそれら地域性を反映した土木工学の在り方は私自身にも影響を与え、帰国後の修論テーマを「鉄筋コンクリートの強度抵抗性」から「ミャンマーにおける持続可能な発展の現状調査」に変更しました。他国の地域性を土木的なフィールドで考えることが、とても魅力的で意義のあることに思えたからです。

留学中の過ごし方

 

午前

ランニング
学生部屋で
勉強

講義
(National and European Transport Policies)

ランニング
学生部屋で
勉強

学生部屋で
勉強

ランニング
学生部屋で
勉強

買い出し・
洗濯

旅行や友人と遊ぶ

午後

学生部屋で
勉強 

講義(Engineering Hydrology 2)

学生部屋で
勉強

講義(Refurbish-ment of building)

学生部屋で
勉強

スイミング

 

夕刻

   

語学学校

パーティー

 

クリスマスマーケットなど

友人と遊ぶ

 

※Fracture Mechanics of Concrete Dams, Talsperren(コンクリートダムの設計) の授業は集中講義だったので、学期中に四日間ほど連続して授業を行いました。

さいごに

留学に行くことを決めたのは学部四年生のときでした。もともと自分と異なる海外の考え方や異文化の中での生活などに興味はありましたが、海外に住むことには現実感がありませんでした。一大決心をして応募したというよりは、交換留学生の募集がきっかけで、チャンスがあるなら出願してみよう、という気持ちでした。ただ、帰国した現在では「本当に行ってよかった、かけがえのない経験になった」と断言できます。現地で知り合った友人は留学における一番の収穫です。友人など周りの人々とだけではなく、留学中には自分自身の考え方など新たな発見がたくさんあります。留学期間は限られているため、ひとつ一つを大切にして、それらを糧にした自分自身の成長を楽しんでください。また、留学は世界を身近に感じ、そして広い世界の中で自分がどのような人物なのか知ることができます。ぜひ自分の成長を信じ留学にチャレンジして、自信につながるような留学にしてきてください。